元声優オーディション審査員が教える、声優になれる人となれない人の違い

Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

声優オーディションの審査員をやったことがある坂口です。

前職の面白法人カヤックで「koebu」(※現在はサービス停止)を運営していまして、そのプロデューサーをやっていました。

歌、セリフ、ドラマにラジオ…聴いて楽しい音声コンテンツをユーザーが毎日大量に投稿し、熱いコメントで盛り上がる!声優デビューができるオーディションも毎月開催!公開型ボイスチャット「koebu LIVE!」で離れた友達...

その「koebu」内の企画で、声優事務所が直接審査をする「新人発掘オーディション」に出場する人を選ぶためのオーディションを定期的に実施していました。

声優アワードは、その年度に「最も印象に残る」声優や作品を対象に、その業績を称える本格的な「声優」を対象とするアワードとして2006年に創設されました。日本音声製作者連盟、KADOKAWA、小学館、小学館集英社プロダクション、文化放送、アーイメージがアニメ業界各社と協力し、声優を表彰するものとしては業界最大の舞台を提供し...

その審査員をほぼ毎回やっていたんですね。

そこでのべ300〜400名ほどの声優の卵の方々を審査させていただきました。

そうすると、段々と「この人は声優になれるな」という人と「この人は無理だ・・・」という人がわかるようになりました。

というわけで、どんな人が声優になれる人なのか、大きく3つのポイントがあるのでご紹介します。

素直であること

オーディションでは候補者の方に「自己紹介」「セリフ審査」「ナレーション審査」をやって頂く形式を取っていました。

セリフとナレーションの台本はオーディション1週間前に渡すようにしたんですね。

ちなみにこのオーディションは、koebu内で運営していたオンライン声優講座の特典として実施していました。

その講座内で「セリフやナレーションは、その台本の背景や状況を自分なりに解釈してからオーディションに臨みましょう」と先生からアドバイスがありました。

このアドバイスを実際に実行に移している人、候補者の2割くらいしかいなかったんです。

「なんで教えられたことやらないんだよ・・・」と思うかもしれませんが、人って意外と素直じゃなくて、言われたことをやることも面倒臭がってしまうんですよ。

でも「本気で声優になりたい!」という人は、その面倒臭さを飛び越えて、素直にアドバイス通りに実行する。

そういう人が声優になるんだな・・・と、審査員をやりながら強く思いました。

リア充であること

声優を目指す人というと「アニメオタク」「非リア充」なイメージが強いのではないでしょうか。

しかし声優になれる人はリア充な人が圧倒的に多いです。(最近、あまりリア充という言葉も聞かなくなりましたが・・・)

これには理由があります。

声優ってキャラクターを演じるお仕事です。

これはアニメや吹き替えに限らず、ナレーションであっても自分とは違う人格やテンションにならなければいけません。

その時にいろんなキャラクターを知っていないと、演じることって難しいんです。

いろんなキャラクターの引き出しを持つためには「いろんな人と知り合い、友達になり、関係を深められる人」=「リア充」である必要がある、というわけです。

家でアニメをずっと見ていても、声優にはなれないんですね。

あとこれは声優に限らずですが、芸能は人との関係性が重要になるので、その関係性を大事にできる人でないと生き残れません。

そういう意味でも、リア充でなければ声優にはなれないんですね。

自分の個性を理解していること

声の個性、性格の個性など、自分自身の個性を理解していることも重要です。

良い声であることは当たり前なのですが、声優は良い声の人しかいないわけです。

となると、その良い声の集団の中で自分をポジショニングしないと仕事は回ってきません。

そうすると、自分の個性を理解し、それがどのように声優業界で受け入れられるのかを把握していなければいけません。

個性を理解しているかどうかをどこで判断しているか。

実は「自己紹介」「セリフ審査」「ナレーション審査」どれでも個性の理解度は計れてしまうんです。

「自己紹介」は、個性を表現するための時間ですから、そこが曖昧だとすぐにわかります。

ただ「自己紹介」はどちらかというと内面的な個性が分かるのみです。

「セリフ審査」「ナレーション審査」も、自分の声がどういう個性があるのか、自分の演技にどういう個性があるのかというところから逆算をして、セリフやナレーションを解釈する必要があります。

ちなみにこの逆算すらもできない候補者がほとんどです。

この逆算をした上で、さらにセリフやナレーションで自分の個性が1番表現できる言い方をするわけですね。

オーディションの際は質疑応答もあるのですが、そこでセリフやナレーションの解釈を聞くと、確実に分かっている人かどうか分かります。

いかがでしたでしょうか。

声優に特化した形で記事を書きましたが、これって社会人だとしても全然適用できる法則だなと書いてみて思いました。

社会でうまくやっていく方法って、色んな人がいろんな書き方してますが、だいたい同じようなところに落ち着くなと。

みなさまも自分の胸に手を当てて、上記の3つのことができているか考えてみると良いかもしれません。

★Twitterやっています!「ブログネタのタネ」をほぼ毎日ツイートしてます。

★コンテンツを肴に飲む「コンテンツ飲み」コミュニティを運営しています。ぜひご参加ください!