どうも、社会人歴8年目の坂口です。
普段は主にWEBディレクターをしています。
みなさんは仕事において「現状把握」ってどれくらい重要視していますか?
私は正直「現状把握」って、つまらない作業だと思っていました。
なぜなら、すでに存在する事実をかき集めるだけの、単純作業に見えていたからです。
現在スタートアップで働いているのですが、そういう環境だと「イノベーション起こしたい!」「新しいことをしたい!」という意向が強くなりがちです。
そして今ある知識の中から出てきたアイデアに心酔して、突き進んでしまいそうになります。
しかし最近、新しいことをやりたい時こそ「現状把握」が大事だと思うようなことがいくつかありました。
企画をする時の「現状把握」
企画をしていて思うのは「人は意外と何も知らない」ということなんです。
例えば…
- 事業・組織・顧客が抱える課題は何なのか?
- 市場はどうなっているのか?
- 競合はどういう動きをしているのか?
- 制限条件(ヒト・モノ・カネ等)は何なのか?
- etc…
今から企画しようとしているものについて、ヒアリングも調査もしない状況で、上記について抜けもれなく考えられる人ってどれくらいいるのでしょうか。
おそらく、ほとんどいません。
なぜなら人は絶対に「解釈」してしまう生き物だから。
そしてその「解釈」を「事実」にすり替えてしまうこともあります。
なので、まずは「解釈」から抜け出すためにもヒアリングを最初にやり、「事実」を捉えるべきです。
体験談をお話します。
私は前のQで商品企画をして上長に提案をしました。
その時、私は世の中の動きや社会の動きといった、かなり俯瞰した状況から企画を考えました。
そして自信満々に上司にプレゼンをした後に、こう言われました。
「お前の言っていることは正しい。でも現実はそう上手く行かないんだよ。」
その後、現状の顧客の現状から、その企画は見事に論破されてしまいました。
商品の顧客の現状を知らないままに企画をしてしまったがばっかりに、現実と乖離した企画になってしまっていたのです。
当たり前のことができていなくて、とても恥ずかしくなりました。
別のエピソードもあります。
昔、起業を目指す方のピッチを連続で聞く機会がありました。
その時のピッチではおそらく40人ほどが連続してピッチをしていたのですが、ほとんどが「既存のサービスとほぼ同じ案」だったのです。
後からピッチをした方にその既存サービスについて聞いてみると「そのサービスは知らなかった」という言葉が出てきました。
「起業」というリスクが高いアクションをしようとしている方でも、「現状把握」についてはその程度なのです。
なので、意識的に「現状把握」をするだけで差別化ができるようになります。
そしてそうすることで、本来解くべき問いが見つけやすくなります。
普段の仕事における「現状把握」
企画だけではありません。
普段の仕事でも「現状把握」は非常に重要です。
例えば仕事を頼まれた時に「言われたことをやる」だけだと二流です。
もう一つ仕事の質を上げるのであれば、仕事を頼んだ相手が何を求めているか、より深くヒアリングをする必要があります。
例えば……
- いつまでにその仕事は完了させるべきなのか
- なぜその仕事をやる必要があるのか
- その仕事の「完了」とは何を指しているのか
- etc…
こういったことがヒアリングできると、本来やるべき仕事は別のことだかもしれない、ということが往々にしてあります。
先程出てきた「本来解くべき問いが見つけやすくなる」わけです。
私はWEBディレクターという仕事をしていますが、サービス内に機能の不具合があると報告を受けることがあります。
報告を受けたら、その不具合が「いつ、どこで、どのような環境で、どういうことをすると起きるのか」を把握し、再現をさせて初めて原因を特定できるようになります。
再現にあたってこの「現状把握」がとても役立ちます。
上記の質問をすることで、より再現させるスピードを早め、不具合の原因特定は圧倒的に早くなります。
マネジメントにおける「現状把握」
マネジメントにおいても「現状把握」は大事だなと感じています。
私は9月からチームリーダーになったばかりなので、マネジメントについてはまだまだ勉強中です。
ただ、勉強している中でも、この「現状把握」の大切さはどの本でも説かれています。
最近読んだマネジメントの指南書とも言える本「そうか、君は課長になったのか。」でも、部下と対話をする重要性や上司に報告をするなどしてコミュニケーションを定期的に取ることの重要性が書かれています。
関連記事:プレーイング・マネジャーにはなるな 〜「そうか、君は課長になったのか」書評〜
最近では1on1の重要性が説かれることも多いです。
これも、部下が思っていることや取り巻く環境等の「現状把握」のために有用だと書かれています。
1on1はたいてい「部下が話す時の心理的障壁を下げる」ように努めることを推奨されます。
それも、部下が現状を素直に伝えられるようにすることで、より正確に現状把握できるようにするためです。
「やってみてから考える」に頼りすぎない
仕事は常に時間に追われています。
そういう時こそ、一見つまらなそうに見える「現状把握」はショートカットされやすいです。
そのため「現状把握」ができていない状態で「とりあえず進めてみよう」が起きがちなのではないでしょうか?
私がいるスタートアップ界隈だと「まずやってみること」が推奨されます。
それはもちろん大事なことなのですが、やる前にわかることってたくさんあります。
- 過去、同様のサービスやプロダクトがなかったか?
- 無いのであればなぜ無いのか?
- あった場合は、そのサービスとの差別化は何なのか?
- その差別化要因での勝算はあるのか?
- etc…
仮説検証は、何も作らないとできないことだけではないはずです。
仕事を始める前に「今は現状把握できているのか?」を一度俯瞰してみると、仕事の質が格段に上がるので、ぜひ試してみてください。