「ジョブ理論」要点と感想|イノベーションは予測可能なものである

どうも、スタートアップで働いている坂口です。

スタートアップ業界に近いところにいると、イノベーションという言葉を耳にします。

そしてイノベーションを起こしたプロダクトの成功秘話が、FacebookやTwitterに流通することが多々あります。

しかし、正直そういった話を読んでも、イノベーションを起こした人たちは「運が良かっただけ」で、イノベーションは再現可能なものではないと考えていました。

(もちろん、私は今スタートアップの会社にいるので、イノベーションを起こすつもりで働いていますが…)

そんな時に、この本に出会いました。

この本は名著「イノベーションのジレンマ」を書いたクレイトン・M・クリステンセンの最新著書です。

「イノベーションを予測可能にする」……本当にそんなことができるのか?

半分疑いながらも本を読み進めました。

「ジョブ理論」要点

そもそもジョブ理論って何?

この「ジョブ理論」は、顧客が商品Aを選択して購入することを「片付けるべき仕事(ジョブ)のためにAを雇用する」という考え方なんですね。

・・・何のこっちゃ?と思いますよね笑

例えば本の中に「バナナシェイク」の話が出てきます。

「バナナシェイク」はどんな顧客のどういうジョブを解決しているのか?

それは「遠い所で働いていて、朝に長距離ドライブをする必要がある人」が「朝の通勤ドライブ」のときに、「長いドライブを退屈させず、また朝の会議で空腹にならない程度にお腹を満たす」というジョブを解決するために「バナナシェイク」を雇用している、と考えるのです。

「ジョブ」の定義

このジョブは「ある特定の状況で人が成し遂げようとする進歩」と定義しています。

この中には2つの要素が必要です。

  • 進歩:あるゴールへ向かうための動き(バナナシェイクでいう「長いドライブを退屈させず、また朝の会議で空腹にならない程度にお腹を満たす」)
  • 状況:その動きをしている時の環境(バナナシェイクでいう「朝の通勤ドライブ」)

また、「ジョブ」には機能面だけではなく、社会面や感情面でのニーズも含まれます(例:病院の診察室で不安を感じたくない等)

ジョブ理論は何が良いの?

ジョブ理論は何が良いのか?

具体的に3つ良いことがあります。

新しい市場を見つけられる

この「ジョブ」を明確に定義できると、新しい市場を見つけることができるのです。

例えばチーズ会社のサージェント・フーズは、日本でいう「とろけるチーズ」を発売し、初年に5千万ドルを売り上げました。

この場合は「毎日サンドイッチにはさんでうまいチーズを食べたい。でもカロリーや脂肪分は気にしたくない。食べてしまったという罪悪感も味わいたくない」というジョブを解決したいたのです。

他のチーズ会社は、そこに市場があるとは思っていませんでしたが、サージェント・フーズはこれにいち早く気づき、商品化をしたのです。

競合が明確になる

例えば「バナナシェイク」の場合は、スニッカーズやサンドイッチやコーヒーなどが競合になります。

ただ「バナナシェイク」というプロダクトだけを見ていると、他のシェイクや飲み物にしか目が行かなくなってしまいますが、ジョブを正確に把握をすると、他の競合と比較してどういった機能を強めなければいけないのかが明確になります。

組織が強くなる

この「ジョブ」が明確になると、組織が強くなります。

その「ジョブ」がコンパスとなり、組織全体が同じ方向を向くようになるからです。

すると、メンバーそれぞれが適切なジャッジができるようになり、またより健全な組織文化を築くことができるからです。

まずは顧客に、好きな理由を聞いてみよう

この「ジョブ」の見つけ方ですが、いくつか方法があります。

その中の1つとして「現在の顧客に使っている理由を聞く」というものです。

自社の商品をすでに購入し、使い続けている人がなぜ使い続けてくれるのか?

その理由が、元々想定していなかった理由だとしたら、それが「ジョブ」のヒントになるかもしれません。

なので、「なかなか商品が売れない……」と困っている方は、顧客に対してヒアリングをしてみてはいかがでしょうか?

個人的な感想

イノベーションを予測可能にした具体的事例が書かれているので、必読!

この本はかなりおすすめです。

この「ジョブ理論」は数年前から発表されていたのですが、その理論を活用して実際にビジネスを成功させた事例が出てくるのです。

経済学者がただ言っているだけで、実践が伴っていない理論とはわけが違います。

ぜひ読んでみてください!

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